「アマモ研究 : 熊本県立芦北高等学校との共同研究(豪雨その後1<堤防から見た画像>)」
の続きとなります。
(上記ブログ・本ブログのアップに至った理由は、上記ブログをご参照いただけますと幸いです)
熊本県立芦北高等学校(通称:芦高<あしこう>)とのアマモを対象とした共同研究体制(最下部に、「芦北高校との活動記録リンク集(18本)」あります)ですが、
7月4日に発生の九州豪雨による同校への影響と、
干潟での定植活動を行っている佐敷川河口での堆積物の存在などにより(前回ブログで堤防からみた様子を示しています)、
生徒さんとの活動は延期され続けていますが、芦北高校の先生方とは現状把握を進めようということとなり、
堤防からの観察のあと、ドローンを活用して「空中から(8月)」「水中から(9月)」の現場把握を行いましたので、その記録をしていきます。
【空中からの様子(ドローン)】
↑ 今回も、ドローンオペレータの高峰氏(芦北町内で農業生産者をされながら、撮影・web製作関連会社の取締役も兼任)により、
今年5月、昨年5月に引き続き、同場所でフライトいただきました。今回もありがとうございます。
↑ 過去2回のフライトでの画像と、今回(8月)フライトでの画像比較です。
ほぼ同じ潮位である日時にあわせましたが、濃い緑色に見えるアマモ場が見えなくなっています。
前回のブログでも示しましたが、豪雨による佐敷川などから流れてきた土(泥)が20-30cm堆積しており、
アマモは埋まってしまったか、流されてしまったかと思われます。
(黒く見えるのは、堆積物に引っかかている木の枝などと見られます)
↑ 干潟活動場所エリアです。
堤防側に石が積まれた場所(数メートル干潟側に出ている)(画像左側)あたりが活動時のベースとなりますが、
そこから南側(画像右側)を見ています。
縮尺が異なりますが、西側(画像下側)に広がっていたアマモ、定植していたアマモ試験区は見られません。
↑ 黒い点にみられた部分のアップです。
引っかかている枝などは膨大な量ですが、これらは今後どうすべきかは、まだ考えられません。
↑ 画像奥側に芦北町中心部をみる、沖側からの画像です(西から東の視点)。
従来の干潟に新たな堆積、アマモ場エリアだった場所にも堆積物が覆っている印象です。
堤防側北側の通称「内海」側(画像左側の堤防から左上の囲まれたエリア)では、堆積物がないように見られます。
アマモが単に埋まっているのであれば、ひょっとしたら種を蓄えた花枝もあったので、
来年になれば・・・の期待はないことはないです。
【水中からの様子(水中ドローン)】
↑ 熊本高等専門学校(熊本高専・八代キャンパス)の入江先生と情報交換していた際(画像左から2番目)、
水中ドローンを葉山先生(画像右から2番目。同高専・熊本キャンパス)が所有されていたのを思い出し、
お二方にご協力いただいて、水中ドローンでアマモの観察(記録・解析)は可能か?をテーマに、まずはどう記録できるを検証する、
いずれのプロジェクトのまずは第0回目としてのプレ記録会を行いました。
(画像右側は、芦北高校の前島先生。画像左側は、筆者・園山です。お腹のでっぱりは空調服の風のおかげです。
当日は、他、当社から北野研究員が参加、全5名で進めました)
当社は、植物の画像解析関連プロジェクトも進めており
(直近では2019年度の衛星データを活用した内閣府プロジェクト、他、民間企業さまとの共同技術開発)、
取得画像を利用した植物解析にも利用できるモデル化技術(SfMによる形態記録技術)もあることから、
アマモ場自体の定量化(観察画像・動画から、長さ・葉の色・密度などを数値記録)を行えるようになることで、
気象環境との関連付けを通して(仮)、適切なアマモ苗の定植時期や栽植密度に至るプログラムができないかと考えております。
現在の本プロジェクト(公益財団法人 水俣・芦北地域振興財団 環境技術研究開発事業<令和2年度>では、
アマモの観察もテーマにしておりましたが、この度の豪雨により、実施時期と重要度を変更して進めていくことにしました。
↑ 空中ドローン(無線)と比べて、水中ドローンは有線通信。調査範囲に制限がでてしまいますが、
堤防上をベースにまだアマモ場が近いので、今回は観察可能でした。
(場合によっては、船上からとなりそうです)
また、操作役・有線取り回し役・観察した場所に導く方位指示役が必要となり、
また、なかなか希望する視点場所に至るまでに苦労する印象でした。
満潮時間で潮がとまる時間を選びましたが、当日は風が強めで海中の流れも大きかったようです。
↑ アマモ場も見ることができました(内海側)。
後に動画ファイルも頂戴しましたが、静止画とすると、解析に向けた検討ができそうな地点もありました。
今後は、画像解析手法も検討しながら、
水中ドローン位置と撮影時間の把握(その画像の撮影場所を特定)手法の検討も進め、
多年生アマモが生えてくる11・12月あたりから観察できるようにしたいところです。
↑ 最後に、画像右側が、北野研究員バージョン。
(前のブログでも記載しましたが、) 後日、ダイバーさんに依頼して海底の様子を詳細に確認いただく機会も予定しております。
(芦北町と漁協、芦北高校さんも含めて、海底堆積物により現在「漁」が不調とのことで、まずはの調査を行うものです)
まずは、豪雨後の現状把握を進め、芦北高校さんとの現場(干潟)でのアマモ活動が再開できるように進めていきます。
熊本高専の入江先生・葉山先生、芦北町在住の高峰さま、芦北高校の前島先生、
豪雨後7月からこの2か月間にも、お声がけ、ご協力に感謝申し上げます。ありがとうございます。
≪ご参考:芦北高校との活動記録リンク集≫
【2018年12月】 : 共同研究体制スタート。アマモ班と初顔合わせ。
【2019年 2 月】 : 芦北高校に当社研究水槽設置。アマモ班との座談会。
【2019年 3 月】 : 深夜の定植活動
【2019年 4 月】 : 明るいときの定植活動(この月より最干潮時間が陽が高い時のため)
【2019年 5 月】 : 花枝採取、マリンチャレンジプログラム授与式
【2019年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成
【2019年 7 月】 : 土壌採取、分析
【2019年 8 月】 : 土壌採取、分析、取材
【2019年 8 月】 : 芦北高校「優秀賞」
【2019年 9 月】 : アマモ観察、採取
【2019年10月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2019年11月】 : アマモ観察、採取(この月より最干潮時間にあわせて深夜活動)
【2019年12月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、取材
【2020年 1 月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、当社ラボ見学来訪
【2020年 2 月】 : アマモ移植(試験区設定)
【2020年3・4月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察
【2020年 5 月】 : アマモ試験区観察、採取
【2020年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成・試験区観察・ドローン飛行による撮影・芦北町環境基本計画掲載
【2020年 9 月】 : 豪雨後の記録1<堤防から見た画像>
【2020年 9 月】 : 豪雨後の記録2<上空・水中から見た画像>
【2020年10月】 : アマモ種子選別
【2020年11月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、種子洗浄、海辺の自然再生・高校生サミット2020
【2020年12月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、「高校生マイプロジェクトAWARD in 熊本・益城」
【2021年 1 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、空撮画像取得開始
【2021年 2 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、アマモ種子試験、空撮画像取得、光量子測定
【2021年 3 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、アマモ種子試験、空撮画像取得、高校生マイプロジェクトAWARD 全国summit
【2021年 4 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、アマモ種子試験、空撮画像取得、マリンチャレンジプログラム授与式
【2021年 5 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、ロープ式下種更新法、アマモ種子試験、空撮画像取得
【2021年 6 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、ロープ式下種更新法、空撮画像取得、日本沿岸域学会参加
【2021年 7 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、くまもと環境賞受賞
【2021年 8 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、マリンチャレンジプログラム全国大会出場へ
【2021年 9 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、アマモ種子選別、アマモポット苗作成
【2021年10・11月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、アマモ種子選別、光量子測定、SPAD値測定
【2021年12月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、SPAD値測定
【2022年 1 月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2022年1・2・3月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、SPAD値測定、水槽環境構築、マリンチャレンジプログラム全国大会、サイエンスキャッスル九州大会
【2022年 4 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、水槽構築、光量子測定
【2022年 5 月】 : アマモ観察、空撮画像取得
【2022年 6 月】 : ロープ式下種更新法、空撮画像取得
【2023年 1 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)+4月追記(アマモ場昨年比較)
【2023年 5 月】 : アマモ観察、ロープ式下種更新法、取材